OTC医薬品(要指導医薬品・一般用医薬品)について

薬学

ドラッグストアや薬局、一部のコンビニで購入できるOTC(オーティーシー)医薬品について記載します。
薬になじみのない方はあまり気にしたことがないかもしれません。
医薬品などの区分については法令により変更されることがあり、以下の内容は2023年9月時点での情報です。

OTC医薬品とは

「OTC医薬品」は、「Over The Counter」(オーバーザカウンター、カウンター越し)の略であり、お客さん自身がドラッグストアや薬局で選んで購入する医薬品のことを指します。
いわゆる「市販薬」「大衆薬」と呼ばれていたものであり、OTCという言葉は2007年頃から使われ始めたようです。
OTCは「要指導医薬品」と「一般用医薬品」という区分をまとめた名称で、中身は次の項目で説明します。

一方で、処方箋により受け取る医薬品を「医療用医薬品」といいます。
病院や診療所・クリニックから処方箋を受け取り、薬局などに持っていくことで、処方箋と引き換えに購入する医薬品を指します。

OTC医薬品の区分

OTC医薬品は「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に大きく分けられます。
医薬品の区分は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法:やっきほう、昔でいう薬事法)で決められています。

区分されている理由

病院に行って医師から処方してもらう薬である医療用医薬品は、医師の診察や薬剤師の投薬のように専門家がひとりひとりの症状に合ったものが渡されることになります。
しかし、OTC医薬品は医療用医薬品と違い、自分の体調に合わせて自分で選んで購入するものです(セルフメディケーション)。
そのため、作用の強さ、副作用のリスクの程度に応じてランクが分けられており、購入者の選択を専門家がサポートできるようにルールが作られています。

要指導医薬品

要指導医薬品は、OTC医薬品の中でも、特に慎重に使用する必要があり、薬剤師が対面で販売し、書面で情報提供をしなければならないものです。
リスクの高いもの、市場に出て間もないもの、医療用と同成分のもの(スイッチOTC)、劇薬を有効成分とするものが含まれています。

お店で販売する際には、購入者が簡単に手が届くところには置くことができず、離れた場所に置くか、手の触れられないように鍵をかけたケースで陳列しなければなりません。
ただ、手に取れないとどのような薬かお客さんが分からないため、手の届くところに空箱を置くことは認められています。

陳列についてさらに補足すると、ドラッグストアやコンビニで医薬品の棚にネットやカバーがかけられており購入できなくなっている状態を見たことはないでしょうか。
これは、OTC医薬品は区分ごとに陳列場所を分けて、ある区分の医薬品を販売できる人が薬剤師か登録販売者に限定されているため、その資格を持った人が店舗にいない時は販売できず、陳列場所を封鎖しなければならないためです。
要指導医薬品については、薬剤師のみ販売することができます。

また、要指導医薬品はインターネットでの販売(特定販売)が認められていません
薬局やドラッグストアなどのお店で使用する人本人が直接購入する必要があります。

一般用医薬品

一般用医薬品は、さらに第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品に分類されます。

第1類医薬品

第1類医薬品は、副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するものです。
陳列場所を区分すること、簡単に手の届かない場所に陳列すること、薬剤師のみが販売できること、書面での情報提供が必要なことは要指導医薬品と同じです。
一方で、第1類医薬品は対面での販売義務がないため、インターネットでの販売が認められています

第2類医薬品

第2類医薬品は、副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するものです。
細かくは、さらに指定第2類医薬品とそれ以外の第2類医薬品に分けられます。
指定第2類医薬品は、第2類医薬品の中で特に注意が必要なものとされており、陳列場所や情報提供について比較して厳しいルールになっています。

第2類医薬品については、要指導医薬品や第1類医薬品のような陳列の厳しいルールはないため、購入者が実際に手に取れる場所に陳列されています。
ただし、第1類、第2類、第3類は混在しないように陳列されています。

第2類医薬品と第3類医薬品は、薬剤師に加えて登録販売者でも販売することができます
そのため、登録販売者が設置されているドラッグストアや一部のコンビニで購入することができます。

第3類医薬品

第3類医薬品は、第1類医薬品と第2類医薬品以外の一般用医薬品です。
他よりは作用がマイルドな区分と言えます。

まとめ

OTC医薬品をまとめると以下の表のようになります。

参考情報

医薬品の関係者

OTC医薬品を販売する人は、薬剤師か登録販売者のどちらかです。
薬剤師は、6年制の薬学部を卒業し薬剤師国家試験を合格して得られる資格であり、全てのOTC医薬品を販売することができます。
また、病院で処方箋を薬局に持って行き調剤を行う人も薬剤師です。
登録販売者は、各都道府県で行われる試験を合格し、都道府県知事の認定を受けることで得られる資格です。

一部のOTC医薬品を販売することができ、主にドラッグストアやコンビニに配置されていることが多いです。どちらも医薬品の専門家であり、お客さんに対して薬の情報提供を行います。
名札に「薬剤師」「登録販売者」のように表示しており、お店によっては薬剤師が白衣、登録販売者がユニフォームのように、一目でどの職種の人か分かるように服装を分けていることもあります。

他の医薬品などの区分

OTC医薬品は自分で選んで購入できるものですが、薬機法で規制されているものの中には、他に自分で選んで購入できる「医薬部外品」や「化粧品」、医師の処方箋による「医療用医薬品」、薬局が製造・販売する「薬局製造販売医薬品」などがあります。

最後に

OTC医薬品の区分について紹介しました。
自分の身体の不調を自分で手当する「セルフメディケーション」のためには、OTC医薬品がとても重要になるかと思います。
ドラッグストアや薬局で薬を購入する際の参考にしていただけると嬉しいです。

参考資料

◇OTCとは
【日本OTC医薬品協会:OTC医薬品とは?】
https://www.jsmi.jp/what/index.html
【公益社団法人東京都薬剤師会:OTC医薬品とは】
https://www.toyaku.or.jp/health/tobehealthy/otc.html

◇法令
【医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律】
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145

◇医薬品のインターネット販売
【政府広報オンライン:医薬品のネット販売を安心して利用するために】
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201405/1.html

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